今日は放射線に誘発されて起こる血尿、または医学用語:「放射線性膀胱炎」について、詳しく話していきます。私が勤務する泌尿器科には、骨盤部の放射線治療を始められてから血尿の問題で診察に来られる患者さんがいらっしゃいます。この症状は慢性的な問題になったり、患者さんの生活の質にも大きな影響を及ぼします。
骨盤部位の放射線治療は、骨盤臓器のがん治療、例えば前立腺がん、子宮頸がんや大腸がんなどでは代表的な治療法として選ばれます。基本的には、他臓器に影響を及ばさないようにターゲットとなるがん細胞にのみ放射線を照射したいのですが、現実的には多少の入射を避けることは不可能です。標的に照射されなかった放射線は周囲の臓器に部分的に影響を与えてしまいます。膀胱は骨盤部に位置している臓器であるため、長期的な合併症の影響となり得ます。

放射線性膀胱炎は、骨盤部の放射線治療歴のある患者数の5%に及ぶと報告されています。放射線が慢性的な膀胱炎を引き起こすまでには時間がかかるため、出血は放射線治療を終えた直後の患者さんに発症することはありません。放射線性膀胱炎が起こり得るのは、下記期間が多いとされています。

- 放射線照射から3-6ヵ月後
- 放射線照射から6ヵ月以降-放射線治療10年後がより一般的である
放射線性膀胱炎の治療計画は2段階に分かれる
- 出血が続いている時期
- 大量出血が引き起こされているのであれば、膀胱洗浄を考慮
- 放射線性膀胱炎の原因となる他の治療可能な原因を特定する(例:尿路感染症など)
- 患者さんの容体安定のために必要であれば入院
- 出血が続くようであれば、内視鏡止血手術を推進

- 安定期
- 高圧酸素療法(HBO)-放射線性膀胱炎が起こるのは、酸素不足の結果から膀胱の慢性炎症が原 因とされています。患者さんが高圧酸素カプセルの中に入ると、膀胱組 織の酸素が増加し慢性血尿の解消に繋がります。6ヵ月時に患者さんの 再診をすると96%の成功率に及びます。
- 内服薬-ペントサンポリ硫酸は尿と接触する膀胱表面欠損部を修復することで、放射線性膀 胱炎に効果があり、1-8週間で効果が見られ始めます。
- 膀胱内療法-膀胱内へのホルマリン点滴は約60-90%の治療効果率ですが、急性腎臓損 傷や呼吸器不全なども報告されています。期待できる代替え点滴薬として、結合組織の治癒過程を促すヒアルロン酸は治療効果率が92%に及ぶとの報告があります。
- 尿路変更術-他の非侵襲的治療で効果が無かった患者さんのみに施されます。膀胱瘻を形成し腹部に固着します。

私が患者さんにぜひ理解していただきたい最も大切なメッセージとして、放射線性膀胱炎は段階的に治療が必要となる慢性疾患であり、また臨床成果に耐えなければいけないということです。
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